平成19年に信託法が改正され、昨今では「信託」が一般の方にも非常に使い易いものになってきました。 ただ、よく誤解をされるのは、信託を使ったウルトラCのような節税対策があるということです。 基本的には、信託を利用する相続対策は、節税対策ではありません。 節税ではなく、「自分の財産を如何に後世に残していくか」と言うことを考える際に使用するツールです。
信託を活用した相続対策
3つの信託活用方法
- 高齢になった親の財産管理を成年後見制度等を利用せずに行う 【財産管理としての信託】
- 遺産を残す人、そしてその次に残す人まで指定できる 【受益者連続の信託】
- 一括で相続させるのではなく、月10万円といった具合に分割で相続させる 【遺言書の補完機能としての信託】
1.高齢になった親の財産管理を成年後見制度等を利用せずに行う【財産管理としての信託】
認知症等で、意思能力に不安がある高齢者の財産管理を行う法的な制度としては成年後見制度がありますが、 この制度を利用するほどでもない場合や、また手続きが複雑なためもっと容易に手続きを済ませたいといった場合に 信託の活用が期待できます。
例えば、父の財産管理を長男が行うようにしたい場合。父が委託者かつ受益者、長男が受託者といった、「家族信託」 を設定します。こうすることで、父親の財産管理を行う法的な権限は父親から長男に移ります。
以下のようなメリットがあります。
- 贈与税がかからずに、親の財産管理を行うことができます。
- 高齢化した親が詐欺等にあうことを防ぐことができます。
- 契約を変更することで、その時の状況に応じた信託のカスタマイズが可能です。
2.遺産を残す人、そしてその次に残す人まで指定できる【受益者連続の信託】
「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」を活用します。
いろいろなケースが想定されますが、例えば先祖代々の土地をずっと守っていきたい場合。
自分が死んだあとは、息子に、さらに息子が死んだあとは、孫に、というように、先の先の相続 まで指定を行うことが可能となります。
また、別のケースとして、仮に現金が1000万円あります。自分が死んだ場合、この1000万円は月々1万円ずつ 長男が取得するように指定し、さらに長男が亡くなった場合には、残りの部分は国に寄付をしたいといったような 遺し方を叶えることも可能です。
なお、30年先の相続まで想定し指定することが可能です。
このように受益者連続信託は、「遺言ではできない財産の遺し方」を実現することが可能となり 相続対策に非常に奥行きが出てくる有効な方法です。
≪活用事例≫
●子供がいない場合、自分の死後は財産を妻に、その妻が死亡後は残りの財産は公益団体等に寄付をする
●障害のある子どもに優先的に財産を遺したいが、その子供が死亡後は他の子供に残りの財産がいくようにしておく
●子供に浪費癖等がある場合等、孫の代まではその信託財産は売却できないようにしておく
3.一括で相続させるのではなく、月10万円といった具合に分割で相続させる【遺言書の補完機能としての信託】
遺言書だけでは実現が難しかった財産の遺し方が、信託を使用することにより可能となります。
例えば、長男には浪費癖があるので、一括で現金を相続させるのではなく、月々10万円ずつ払われるように設定したり、 また、その使用目的に制限を設けることもできます。
学費や孫の教育費にしか使えないようにしたりすることも可能です。
≪活用事例≫
遺言書の補完機能としての信託
● 子供が幼い場合、例えば30歳になった時点で現金を使えるように設定する
● 財産を遺す子供に浪費癖がある場合、使用目的を生前し、例えば、孫の教育費にしか使えないように設定する
● 一括で財産を渡すとすぐに浪費してしまう恐れがあるような場合、月々分割で払われるように信託を設定する
どこに相談すれば良いの!?
一般的には、信託銀行が窓口になることが多いですが、昨今では信託銀行以外でも許可を受け信託業務を行っている事業者は存在します。
内容により、相談先を選ぶことが重要です。
信託の中でも、不動産を活用した信託や生命保険金信託等の方法もあります。
適切な信託会社を選択し、自分の悩みや問題に合った方法を選択する必要があります。
信託の種類や内容によりますが、信託財産は1000万円程度から、手数料は数十万円からといったイメージです。
そして相続対策として信託を検討する際には、”税務”に関わる問題が必ず関わってきます。
東京会計コンサルティングは多くの方の相続対策のご相談をお受けしておりますので、お客様のお悩みや問題点をしっかり確認させて頂いたうえで、適切な信託会社をご紹介させて頂くことも可能です。
まずはお気軽にご相談ください。